患者さん御本人が虫歯に気がついて、虫歯治療で来院された際に、『セラミック』での虫歯治療を希望されて来院される患者さんが結構いらっしゃいます。
セラミックによる虫歯治療は保険の銀歯と比較して、修復後に詰め物の下での虫歯になりにくく、歯にとっては生体親和性が高い材料ですが、保険の銀歯と比較して費用が多少かかります。
患者さん御本人が多少費用がかかっても、歯にとって最適な材料で長期的に保つ治療を行って欲しいと意識高く来院してくれる事は術者としても大変うれしく感じます。
ただし、虫歯の大きさと、虫歯の存在している部位によっては、ここはセラミックではなくて、コンポジットレジンで修復をしましょうと歯科医師側から提案することが時々あります。
患者さんとしては『よし、セラミックで!』と気合を入れて来院されたところで、コンポジットレジンの適応ですと言われて拍子抜けした方もいるかと思います。
そこで今回はセラミックの良きライバル、コンポジットレジンについての解説をします。
そもそもコンポジットレジンとはなんなのか?
コンポジットレジンとはなに?
コンポジットレジンとは光をあてると固まる樹脂とフィラーと呼ばれるセラミックの細かい粒子が混ぜ合わさった材料です。
白い『プラスティック』の詰め物と呼ばれることが多いですが、容積比でみるとセラミックの細かい粒子が80%前後含まれており、プラスティックである樹脂は20%ほどしかありません。
プラスティックというよりはどちらかというと、セラミックに近い配合となっています。
コンポジットレジンの一番の特徴としては、光によって硬化することです。
光をあてる前に、自由に形を作ることができ、適切な形態を付与できたところで光を当て硬化させます。
コンポジットレジンには、色の明るさが異なるもの、光の透過性が異なるものが数種類用意されています。前歯などではこれらを2、3種類重ねて盛ることで天然歯に近い色調を再現できます。
また硬化前の硬さもバリエーションがあります。光をあてる前は粘土のような柔らかさのもの、水飴のような柔らかさのものといろいろな種類のコンポジットレジンがあり、部位によって使いわけをして緊密に詰めることが可能となります。
どんな時、コンポジットレジンの出番なの?
コンポジットレジンは写真のように小さい虫歯の時に主に使われます。
コンポジットレジンによる修復は、セラミックや金属の修復と異なり、口のなかで歯の形を作っていきます。
そのためあまり大きな範囲を修復するのは技術的に難しく、小さい虫歯に主に使用されます。
逆に、小さい虫歯に対してセラミックを使用しようとすると、セラミックの厚さを確保するために、健康な部位を余計に削る必要が出てきます。
そのため、小さい虫歯にはコンポジットレジンで対応しましょう。ある程度大きな虫歯にはセラミックで対応しましょう。といった使い分けが起こるのです。
ひと昔前のコンポジットレジンは摩耗しやすく、上下の歯が強く接触する部位にはコンポジットレジン で修復しない方が良いとされている時代がありましたが、コンポジットレジン自体の物性の向上で摩耗性はかなり改善された製品が出てきており、コンポジットレジンの種類を適切に選択すれば大きな修復も可能だと近年では考えられるようになってきました。
コンポジットレジンが不適応な症例とは?
御茶ノ水 杏雲ビル歯科では、あまりにも広い範囲を修復する際には、コンポジットレジンを適応せずセラミックを適応しております。理由としては、単純に充填の難易度が難しく最終的形態のクオリティーがセラミックに劣る点。
また、大きく力がかかる領域をコンポジットレジンレジンで充填すると、経年的に天然のはよりも多く摩耗してしまい、そこから冷たいものがしみるなどの症状がでることあります。
すべての症例でコンポジットレジンが適応できるわけではなく、ケースによってコンポジットレジン、セラミックを使い分けています。