歯科大学と研修期間が終われば一人前?
歯科大学の6年間のうち、歯科に関することを学ぶのは4年間ほど。その4年間のうち、最後の1年間は大学病院に来院された患者さんの治療を指導教官と共に進めていき、治療の合間に歯科医師国家試験に備えて受験勉強をします。
晴れて国家試験を合格し、歯科医師免許を取得した後には、1〜2年間の研修期間があります。歯科医院を自分で開設するためには、1年間の研修期間が必須になるため、基本的にはほとんどの新卒歯科医師が研修医時代を経験します。
歯科大学6年間と研修医1年間をかけて、やっと国から一人の歯科医師として認められるのですが、実際の治療の現場に立つと、
できることよりも、できないことの方が多いという現実に直面します。
歯科大学での6年間と研修医時代の1年間で学んだことだけでは、とても実際の現場では戦えないのです。
このヨチヨチ歩きの新米歯科医師が、自分自身で勉強をして、周囲の先輩歯科医師と患者さんから成長させて貰い、少しずつ一人前の歯科医師に近づいていくのです。
学生時代、あるいは研修医時代に治療をさせて頂いた患者さんには本当に感謝です。
歯科医師になってからの勉強
研修医を終えた後の、歯科医師の生き方は色々です。
大学に残り各科の大学院生となり研究と臨床の勉強で更に4年間過ごす歯科医師もいますし、一般の歯科医院で勤務をして臨床をバリバリこなしていく歯科医師もいます。さらには、海外の歯科大学に留学して、研究や歯科臨床を勉強する歯科医師もいます。
研修を終えた後の、歯科医師の身の振り方は自由です。自由ゆえに非常に迷います。
自分も大学院に行くかどうか非常に迷いました。
教授の部屋を開ける瞬間もまだ迷ったままで、迷ったまま教授の部屋に入って教授と話をして、話している最中に大学院に行くことを決めた記憶があります。
大学院に行っても、一般開業医に行っても、どちらも共通していることは、身近にいる先輩歯科医師から教えを受け、影響を受けてヨチヨチ歩きの状況から徐々に成長していきます。
徐々に成長をしていくにつれて、歯科業界のことがだんだんとわかってきます。
まず、歯科医師を対象にした有料の講習会があること。
歯科医師を対象とした歯科雑誌があること。
大学の教授だけが書くものと思っていた教科書が、一般開業医の歯科医師も教科書を書いること。
有志の歯科医師が集まって、グループ内で情報を交換していること。
全世界の歯科医師が手にとることができる英語の論文があること。
歯科医師は身近な先輩歯科医師から、そして講習会、歯科雑誌、教科書、論文などから色んなことを絶えず吸収して、それを実際の臨床現場で発揮していきます。
歯科医師の定年
歯科医師免許には定年はありません。更新制でもありませんので一度取得すると、もれなく死ぬまで歯科医師としての免許は保持できます。
引退するのも歯科医師本人の意思で決められますし、更新制も無いため歯科医師として成長することをやめることも簡単に出来ます。
もう歯科の勉強は、ほどほどでいいかなー、なんてことも自由にできてしまいます。
勉強するかしないかも自分で決めて、定年するかしないかも自分で決める。
『常に自分で自分のことを律し続けて成長し続けてください、自分で自分の身体のことは把握してして患者さんに迷惑をかけないようにしてください』、
という免許の基で歯科医業を行っていくことになります。
自分自身が試されているようで怖い感じもしますね。
自分としては、まだまだ奥深い歯科医療において勉強しきれてないことが山ほどあり、勉強のやり甲斐を感じられているので、成長したい意思は満々ですが、年老いてきて、目がかすみ始めたら・・・
さてさてどうしましょうか。