何かしらの症状があって歯科医院に行った時に、レントゲン写真の撮影を歯科医師から伝えられた経験が多くの方がお持ちだと思います。今回はレントゲンの種類、気になる被爆量、そして、そのレントゲンの見方について。
レントゲンの被爆量やレントゲンの見方が分かるだけで、被爆を伴うレントゲンの撮影に納得がいきやすいかと思います。
参考にどうぞ。
レントゲンの種類
まずレントゲンの種類は口の周囲全体を撮影する『パノラマ』と、一つ一つの歯を細かく診るために撮影する『デンタル』があります。
パノラマ
当院では、初めて来院された患者さんには、まずパノラマレントゲン写真の撮影をさせて頂き、それをもとに、口全体の状態を把握するところから診査、診断、そして治療方針の決定をしていきます。パノラマの撮影領域は広く、左右上下の全ての歯を1枚の画像で確認することが可能です。
デンタル
パノラマから口腔内全体の問題箇所を特定した上で診断を進め、治療の状況に合わせて、より細かく診るためにデンタルの撮影を行います。
デンタルの撮影領域はパノラマと比較すると狭く、2〜3歯が撮影範囲になりますが、パノラマよりも鮮明な像が得られる為、パノラマでは確認できなかった虫歯や被せ物の不具合などが見つけることが可能です。
この他にも矯正治療の診査診断に使用されるセファロや、インプラント治療の診査診断時に使用する歯科用CTなどがあります。
ちなみに、このブログに掲載している上のレントゲン写真は筆者のレントゲン写真です。てへ。
気になる被爆量について。
原発事故直後などは、歯科診療をしていても、レントゲン撮影の際に被爆量に関しては多くの質問を受けました。
放射線を人体に照射することによって、診療をする上で歯や骨、被せ物などに関する有益な情報を得ることができるわけですが、その照射量が多くなれば人体に悪影響を及ぼします。
では、歯科のレントゲン時の被爆の影響とは、どれほどなのでしょうか?
下の図は放射線医学研究所から出された、歯科用のレントゲンの放射線量と普段の日常生活で浴びている放射線量の比較した図です。これを見て頂くとパノラマ、デンタルともに非常に軽微な放射線量であることが分かっていただけると思います。
デンタル1枚の撮影を19回するとようやく、東京とニューヨークの間を往復する時に浴びる照射量と同等になります。そもそも飛行機にのって海外に行く時に、被爆する放射線量を気にする方も少ないかと思いますが・・・
放射線という目に見えないものを浴び、それを浴びすぎると人体に影響があるという知識だけを持ち合わせていると、得体の知れない恐怖を感じるものです。
しかし、もう一歩その知識を深くすると、その恐怖も多少消えるかと思います。
歯科治療時にレントゲン撮影する際には、どうかあんまり神経質にならないように。
当然私たち医療者の方も、患者さんの無駄な被爆を極力避ける努力は怠ってはいけません。被爆量が少ないにこしたことはないのですから。
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レントゲンの見方の基本
レントゲン写真は、金属の被せ物や、根管治療で詰めた根充材などの人工物は真っ白に写ってきます。
逆に虫歯の箇所は黒く写ってきます。
例外はありますが、硬い物ほど白く映り、柔らかい物ほど黒く映ってくると思って頂けたら良いかと思います。
虫歯の部位は感染して柔らかくなっているので黒く写ってくるのです。
またレントゲンは歯を支えている骨の状態も分かります。歯周病で骨がなくなってしまうと、なくなった部位は黒く映ってきます。
レントゲンの見方の基本として、白く映ってくるところは過去に治療をした部位で人工物が入っているところ。黒く映っていることのは病気の箇所、そう記憶しておきましょう。(次回以降のブログでもう少し踏み込んで書いてみたいと思います。)
ただし、目が慣れていないと、ほとんどのレントゲン写真がただの真っ黒の塊に見えるものです。目が慣れるには多少の修行が必要かもしれません。当院では診療台の目の前にディスプレーがあり、患者さんご本人のレントゲン写真が表示されていることが多いので、その時にじっくりご自身と向き合ってください。
レントゲンのことで分からないことありましたら、遠慮なさらず積極的に質問してください。