今回は虫歯治療の一つのセレック治療のポイントについて。
虫歯の治療の基本的な流れをおさらいしておきましょう。
1.虫歯を取り除く
2.修復物を作製する
3.修復物を装着する
治療の流れとしては、とてもシンプルです。悪くなった(感染した)ところを取り除き、取り除いたところを型取りをして修復物を作製し、取り除いた箇所に作製した修復物で補うのが虫歯治療です。
セレック治療も虫歯治療の一つですので、基本的な治療の流れは同じですが、修復物の作製の過程が従来の金属の修復物などとは異なるのがポイントの一つです。
型取りをカメラで行う。
これまでの歯科治療で修復物を作製する際には、かならず口の中の型取りを粘土の様な材料(アルジネート印象材、シリコン印象材)で型取りを行ってきました。型取りに石膏を流して口の中とほぼ同じ寸法の模型を作製し、その模型上で修復物を作製してきました。
セレック治療の場合には、基本的には粘土のような材料を使用しての型取りはしません。型取り専用のカメラを使用して、虫歯を取り除いた歯の情報をデジタルデータにしてパソコン上に表示します。
カメラを使用して型取りをすることの利点として、不快感の軽減、短時間で型取りが終わることが挙げられます。
カメラで読み取られた歯の情報がパソコン上で表示され、パソコン上で詰め物の設計を行っていきます。
修復物を機械が作る。
パソコン上で修復物の設計を行ったあと、修復物を作製する機械(ミリングマシーン)に修復物の情報を送ります。ミリングマシーンでは歯の色に合わせたセラミックのブロックを修復物の情報に基づいて削り出していきます。
従来型の修復物作製方法では、模型の作製し、模型上でロウで修復物を作製、ロウで出来た修復物から鋳型を作製し、鋳型に溶けた金属、セラミックを流し込み、冷やして固まったら修復物を調整・研磨してようやく完成となります。かなり煩雑です。
従来型の作製方法と比較して、セレック治療の修復物作製の作業工程はシンプルで短時間で修復物が完成します。短時間で修復物が完成するので、歯の形を整えて、型取りをしたその日のうちに詰め物を口の中に装着できるわけです。
自分が学生実習の時(今から10年くらい前)、金属の修復物を作製するために、ロウで修復物を作って鋳型を作り、そこに溶かした金属を流し込む。。なんて原始的な方法なんだと感じたのを覚えています。いまはもう21世紀なんだぞって。
歯科の世界も常に変化をしています。
メインイベントは接着操作。
修復物が出来上がった後には細かい調整を実際の口の中で行い、そこから最後の大仕事、接着操作です。接着操作は実際に修復物を歯に装着させる操作のことです。ここで失敗すると全てが水の泡で台無しになってしまいます。
セラミック修復物は接着性のレジンセメントと呼ばれる非常に接着力の強いセメントを使用して装着していきますが、このレジンセメントの取り扱いは従来のセメントと比較すると取り扱いが難しいです。
まずその接着力ゆえに取り残しをすると歯石の様になってしまい、歯肉炎を引き起こしたりします。また水分が大敵で、唾液などの水分がセメントに混じってしまうと接着力が大きく落ちてしまい、修復物の脱離や虫歯の確率が高くなります。そのため、ケースによっては写真のようにゴムのカバーを歯につけた上で唾液の侵入を防いで接着操作をしていくこともあります。
ここは歯科医師の腕の見せ所で大仕事。一番気を使う工程です。