2016年7月8,9.10日に金沢にて日本補綴歯科学会第125回が行われました。
今回は金曜日の診療をお休み頂いて参加してきましたので、歯科における学会について。
どんな学会があるの?
日本における一般の歯科医院では、被せ物も、歯周病治療も、根管治療も、親知らずの抜歯も、入れ歯の治療も、インプラント治療もすべて同じ一つの歯科医院でこなしていることが多いです。
しかし、同じ一つの歯科領域の治療ながら、実際に行う治療内容、治療器具、術式等は全く異なる為、学問的には細分化されており、各分野ごとに学会が存在しています。
日本の代表的な歯科に関連する学会として、日本補綴歯科学会、日本歯周病学会、日本歯内療法学会、日本口腔外科学会、日本小児歯科学会、などが存在しています。このほかにもまだまだ多くの学会が存在します。
たとえば、自分が大学院時代に所属していた学会の一つが日本歯科理工学会。
この学会は歯科で使用される金属や、プラスチックなどの歯科材料に対して研究を行っている研究者、歯科医師が集まっている学会です。
このように歯科に関するものだけでも、多くの学会が存在しますが、その学会に入会する人は歯科の中でも特にその分野において研究を行っているあるいは、興味がある歯科医師が集まって意見交換、情報交換を行っています。
その学会に入会するのは歯科医師免許があって入会金、年会費を払いさえすれば誰でも大丈夫です。何のハードルもありません。
自分はいま補綴歯科学会、審美歯科学会に入会してますが、歯周病学会に入会することもできますし、小児歯科学会に入会することもできます。また、学会会場に実際に足を運んでなくても、所属し続けることが可能です。
単純に年会費を払っておけば大丈夫です。経歴を見ると多くの学会に参加している歯科医師の方もいますが、年会費がかなり嵩むことになります。
補綴とはなんぞや?
今回参加した学会は補綴歯科学会の学術大会ですが、そもそも、この『補綴』という用語が一般の方には分かりにくく、読み方さえも分からない方が多いです。
『補綴』の読みは『ほてつ』となりまして、その意味は日本補綴歯科学会のホームページから引用しますと、『補綴(ほてつ)歯科とは,歯や顎(あご)が欠けたり失われた場合に,冠,クラウン,入れ歯(義歯)やインプラントなどの人工物で補うことを言います。』
自分は歯科大学の6年間、そして研修医としての1年間を過ごした後に、部分床義歯補綴学分野という、入れ歯の医局に入りました。医局員は補綴学会に入るのが基本となるので、大学院の1年目の時に日本補綴歯科学会に所属し始めて、かれこれ8年くらい所属していることになります。
学会での過ごし方
補綴歯科学会学術大会の会場で行われ事のメインは講演です。ほとんどの学会員はその講演を聴くことで学会期間中の時間を費やすわけですが、その講演は研究と臨床の二つに分かれた内容になっています。
自分自身は、大学院時代に研究を行っていた時期などは、基礎研究の演題発表などにも耳を傾けていましたが、大学から離れて臨床にどっぷりの環境で仕事をこなしている現在では、主に臨床の講演を聞いて学会期間中は過ごすことが多いです。
また、補綴歯科学会の専門医を取ろうかと一念発起しまして、今回は自分としては初めての経験ですが、専門医の為のマーク試験を受けて参りました。今回のマーク試験が無事に合格したら、次回以降の学会でケースプレゼンテーションを行って専門医に値する歯科医師であるか審査を受けていく予定となります。
どうなることやら。
学会といっても、朝から始まって夕方くらいには終わりますので、当然、夜はお楽しみの飲み会になります。
声を大にして言いますが、飲み会も立派な学会の大事なイベントの一つなんです!
久しく顔を合わせていない補綴という一つの分野に情熱を燃やす同業の者と一同に顔を合わせることになりますので、楽しいお酒になるのが毎回となります。
また来年が楽しみです。