食事の時には食べ物を噛み砕く為に、上下の歯が接触するのは当然のことですが、食事以外の時間帯は上下の歯はどうなっているのがいいのでしょうか?
食事以外の時間帯とは本を読んでいたり、スマホを触ったり、車を運転してたり、歩いていたり。
そんな時に上下の歯がどんな位置関係になっているかな?のお話。
上下の歯がどなっているのが自然なのか?
結論から言いますと、食事以外の時には、上下の歯が離れているのが自然の状態です。
つまり、上下の歯が触れ合っているのはやや不自然な状態です。
上下の歯が接触している時間は一般的に1日のうちに15分以下とされていて、上下の歯が15分以上に接触している方は、無自覚に接触させてしまう癖を持っている可能性が高いです。
この癖をTCH(Tooth Contacting Habit: 歯牙接触癖)と呼ばれます。
『上下の歯を接触させてるのは異常な状態ですよー』と患者さんにお伝えすると、よく返ってくる言葉が『私は噛み締めてはいませんよー』という返事です。
上下の歯の接触と噛み締めは度合いが違います。この度合いの違いを認識する必要があります。
噛み締めというのは上下の歯をぎゅーと噛んでいる状態。当然この状態も異常です。さらには上下の歯がほんの少しでも触れていてはいけない。上下の歯が触れているのが異常な状態です。そんなお話です。
噛み締めても当然だめですし、さらに上下の歯が触れていてもダメなのです。
上下の歯が触れている状態が続くと、どんなことが起こるのでしょうか?
上下の歯が触れていると起こること。
上下の歯が触れていると筋肉の緊張、疲労、顎関節症状、噛み合わせの違和感を誘発する可能性があります。
つまり、顎関節症、噛み合わせの違和感の原因のひとつに上下の歯を接触する癖(TCH)が考えれ、顎関節症や噛み合わせの違和感を改善するために、この癖の是正が治療法の一つになっています。
これまで、顎関節治療や、噛み合わせの違和感の軽減のために、大掛かりな咬合調整、つまり歯を削って噛み合わせの調整を行ったりしてきた過去がありますが、今現在は、『歯を接触させる癖をなくす』というまったく侵襲のない治療法を取られています。
実際、御茶ノ水 杏雲ビル歯科でも顎が痛いといらした患者さんに歯牙接触癖のお話をお話させて頂き、日中の歯の接触する癖を是正するように指導すると、一週間ほどで症状の改善がみられる方がほどんどです。
TCHはどうやって治す?
まずは、歯が接触した状態が続くことは、悪い癖であることを認識することが大切です。
歯と歯がしっかりと噛み合っている状態が続いている方が、健康的でなんだか力が発揮しそうと考える方がいますが、それは重量挙げなど重たいものを持ち上げる時の話です。
テレビを見ていたり、仕事に集中している時には、歯の接触はまったく必要ありません。
悪影響の方が多いのです。
TCHを治すためには、接触する癖には良いことがないことを認識した上で、TCHを日中に無自覚にやってしまっていること患者さん本人が気がつくことが大切です。
そのためには、パソコンのモニターの脇やテレビなど、よく目にするものに『歯と歯を触れさせない』とポストイットなどでつけておくと良いとされています。
あるいは、時刻を確認した時に、同時にいま自分の歯と歯は接触していないかな?と確認する。
そういったことで癖に気がつき、改善が見込まれます。
歯を削っての咬合調整を気軽にしないで!
TCHが原因となって、顎関節症や噛み合わせの違和感がおこります。以前は顎関節症や噛み合わせの違和感に対して、噛み合わせが悪いということで、噛み合わせの調整として、天然の歯を削って調整を行なったり、天然の歯を大きく削って被せ物を入れる、ということが、一部の歯科医師の中で行われていました。
しかし、こういった治療は顎関節症や噛み合わせの違和感には効果がなく、むしろ悪化させる結果につながるとされています。
歯を削っての調整に関して、患者さんも歯科医師の慎重になる必要があります。
ひとまずは、侵襲がまったくないTCHの自覚とその是正に取り組み、経過観察を行うようにしましょう。ほとんどの顎関節症は自然と消退してしまいます。
また御茶ノ水 杏雲ビル歯科では、難易度高い症例などは、東京医科歯科大学 顎関節外来(https://www.tmd.ac.jp/dent_hospital/medical/gakukansetsu.html)への依頼をしております。ご気軽にご相談ください。